ケガをすることなく、淡々と練習メニューをこなし、試合に出場すればベストプレーをし、その状態をシーズンを通してキープすることがプロ野球選手にとっての理想の身体です。才能ある若手選手であっても、グラウンドで見せる鮮やかなプレーの数々は、一朝一夕で体得できたものではありません。華やかに見えるプロ野球の世界ですが、その陰で球団は選手を育成するために地味な練習を日々積み重ねています。
若手選手の育成が上手いオリックスでは、3人1組のチームを作って連続200本ノーエラーでノックをこなすという練習を取り入れています。3人順番でノックを受け、仮に198本目で誰かが取り損ねたりすると、最初からやり直しです。180本を越えたあたりからは、「自分がミスすると他の2人に迷惑がかかる」という緊張感が生まれ、プレッシャーに強くなる効果があります。また、若手選手は疲れるにしたがって目線がつぶれてくるものなので、そういう状況の中でも打球をしっかり捕れるようにするための練習でもあるのです。
さらに練習では、本来なら苦手なグラブさばきも数多くこなさなくてはならないのですが、多くのノックをノーエラーで受け続けていると、若手選手はどうしても得意なやり方で、無難にこなそうという気持ちが出てしまうものです。首脳陣にとっては、若手選手たちの練習に対する取り組み方や、グラブの使い方の得意不得意を判別することができるので、有益な育成方法となっています。